公衆衛生学、特に社会疫学においてその上流へのアプローチとして法規制の必要性を議論することが多いのですが、どのように法規制をするのかに関する戦略的なアプローチについて法学者と公衆衛生の専門家が議論したことはたほとんどなかったと思います。具体的な事例としてタバコやコロナなどの法規制はありましたが、各論にとどまっておりその本質はまだ隠されているように見えます。そこで、法と公衆衛生の「交差点」として、様々な専門家がこれまでの経験をシェアしつつ今後の方向性を探る場を提供したいと考え、第2回ウェルビーイングラウンジ「法と公衆衛生」を2024年5月23日15:00よりアクティブラーニング室でZoomとのハイブリッドで開催しました。
藤原武男センター長の司会で進行し、話題提供として南谷健太先生(弁護士、スタンフォード大学大学院)による「保健医療セクターに関連した気候変動規則」、那波伸敏副センター長(公衆衛生学分野准教授)とキルギスからの留学生であるAiperi Asanbek kyzyさんによる「キルギスにおける大気汚染規制」、片野田耕太先生(国立がん研究センターがん対策研究所データサイエンス研究部部長)による「受動喫煙の規制のこれまでとこれから」についてお話しいただきました。
そしてそれぞれのお話の後に、慶応義塾大学法科大学院教授で東京医科歯科大学の客員教授にもなっていただいている磯部哲先生、ジョンズホプキンス大学コミュニケーションプログラムセンターの元セクションディレクターで東京医科歯科大学特任教授でもあるDouglas Storey先生からコメントをいただきながら議論を深めていきました。科学者は、政策変更をサポートするために、どのように正しい情報を提供すべきかについて、また人々の健康増進につながる法律改正の歴史から今現在の課題について、最先端の知見が紹介されました。そして、今後議論を深めていくべきテーマが見えてきました。70名超の参加者を前にして熱い意見交換を交わしました。
「*南谷先生のお写真をAIで合成して作成しています」