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RESEARCH REPORT 2025.05.23

緊急レポートとして「日本のフードセキュリティの実態と気候変動対策への支持」に関する政策提言を発表しました

フードセキュリティ(食料安全保障)は世界的な問題ですが、日本の実態は不明です。昨今の物価高の影響、その根本的な原因となる気候変動についての意識や態度を検討するため、2025年2月、東京科学大学・未来社会創成研究院(Institute of Future Science, IFs)のウェルビーイング創成センター(CWRA; Center for Well-Being Research Advancement)は、全国の1万人を対象とした調査(PLANET Study)を実施しました。

今般の国政選挙を鑑み、高騰する食品や気候変動対策に関する政策に役立つ可能性があると考え、その結果を一部速報的にレポートします。まず、4割を超える人々(43.8%)がフードセキュリティが脅かされている食料危機を経験していました。また、この食料危機層は食料危機を経験していない人々に比べ、猛暑や異常気象による入院・受診など体調不良を起こした人が2倍以上おり、自分の住んでいる地域における異常気象による健康や生活への被害に関する報道も約2倍多く目や耳にしたことがあると答えていました。そして、食料危機層の43.7%が「気候変動対策を熱心に進める政治家がいたら、投票する」意思があることが明らかになりました。全体でも37.3%に投票意思がありました。物価高を受けた経済対策として、消費税の扱いが参院選の争点となりつつあります。今回の調査結果は、食料危機への対策として、より長期的・抜本的な気候変動対策という民意もあることを示しており、物価高対策の長期的な対策としての気候変動対策についても争点とするかどうかの議論が待たれます。

詳細はこちらのPDFをご参照ください。

環境の健康影響に詳しい、ジョンズ・ホプキンス大学のブライアン・シュワルツ教授(Prof. Brian Schwartz)によるコメント(本調査には関与していません)

「気候変動はフードセキュリティにとって重大なリスクです。日本において食料危機層が44%であったという数字は驚くべき発見であり、絶対に対処しなければなりません。この調査は未来のためにとても重要な仕事であり結果です。日本の政治家に対して、気候変動に対するアクションの重要性をはっきり示しているものと考えます。」

“Climate is a big risk for food insecurity. Food insecurity of 44% in Japan is remarkable finding that must be addressed. This is very important work and result for the future. It emphasizes the importance of climate action in Japan and among Japan’s political leaders.”